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関節の痛み関節の痛み

変形性股関節症

変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)は、脚の付け根にある股関節に痛みや可動域制限(動かしにくくなること)が現れる病気です。特に40~50代以降の中高年女性に多くみられます。また、変形性股関節症は進行性の病気なので、自然に治癒することはありません。
参考:変形性股関節症診療ガイドライン2016改訂第2版|P.13

初期は歩き始めや立ち上がるときに股関節の痛みを感じる程度ですが、進行すると股関節の痛みが強くなったり常に痛くなったりします。また、可動域も低下していくため、足の爪切りや靴下を履く動作が困難になったり、階段では手すりが必要となったり、足を引きずって歩いたりする(跛行:はこう)など、次第に日常生活にも支障を来すようになります。
変形性股関節症の主な原因は、加齢や股関節の発育性疾患により股関節の骨・軟骨がすり減り変形することです。
変形性股関節症が疑われる場合、できるだけ股関節に負担をかけないような日常生活を心掛けながら、治療の基本は生活指導や運動療法・薬物療法などの保存的治療を行います。保存的治療で改善できず、日常生活に支障を来す場合には「手術」を検討します。
当院では、従来の保存的治療による痛みの改善に加え、再発や新たな部位の痛みの発生を予測して予防する治療「積極的保存治療」を行っています。
積極的なリハビリテーションや姿勢・動作矯正、生活指導などによって、股関節に負担をかけない身体作りをサポートします。
さらに、ご自身の血液を使って組織の再生を促す「再生医療PRP-FD療法」にも当院は対応しております。(※自由診療、15万円。価格については、患者様の治療内容によって変わりますので、お問い合わせください。)
関節は一度変形すると、二度と戻りません。そのため、早期発見・早期治療が大切です。
脚の付け根の痛みや動かしにくさなど、脚の付け根に異変が現れたら、お気軽にご相談ください。

変形性股関節症のセルフチェック

次のような症状はありませんか?
両親のどちらかが、変形性股関節症である
子どもの頃、股関節に異常があった
原因不明の腰痛や膝の痛みがある
靴底の減りが左右で異なる
足の長さが左右で異なる
前よりも歩くのが遅くなった(指摘される)
脚の付け根を押すと痛む
上半身が傾いていたり、歩くと体が左右に揺れたりする(指摘される)
いつのまにかガニ股・O脚になった
胡坐(あぐら)がかけない
いずれかに心当たりがある方は、変形性股関節症の発症リスクが高いので、一度検査を受けることをおすすめします。

股関節の構造

両脚の付け根部分にある「股関節」は体の中で一番大きな関節です。上半身と下半身を繋ぐ役目をしていることから非常に負荷がかかりやすい関節で、片足で立っているだけでも体重の約3~4倍もの負荷がかかり、早足では約10倍の負荷がかかるとされています。

股関節は、大腿骨(だいたいこつ=太ももの骨)の上端にある球状の「骨頭(こっとう)」と、骨頭の約4/5を包み込んで受け皿のような形をしている「寛骨臼(かんこつきゅう)」から構成されている球関節(*1)です。
(*1)球関節:ボールと受け皿のような関係をする関節のこと。股関節のほか、肩と腕の付け根の関節のように自由度の高い関節。

さらに、骨頭と寛骨臼の接する面には「軟骨」があり、股関節の周りには様々な筋肉・腱が付いているので股関節の安定を保ちながら、足を前後左右と自由に動かすことを可能にしています。
そのため、股関節の変形や可動域の低下が進行すると、立つことも歩くことも難しくなるなど日常生活に大きな影響を及ぼします。

図:股関節の構造

変形性股関節症の症状

変形性股関節症の症状は、進行段階によって異なりますが、「変形が強い=痛みが強い」とは限りません。

1.超初期(前期関節症)
股関節形成に異常がみられていても、まだ関節軟骨が保たれているため、痛みはありません。人により、長時間歩行した後に足がだるい、疲れやすいなど感じることがあります。
2.初期
初期では関節軟骨がすり減り始め、股関節の隙間が狭くなったり、軟骨と接する骨が固くなったり(骨硬化)します。この頃より歩き始め・立ち上がりの際に脚の付け根や太もも・お尻に痛みを感じるようになります。なお、股関節の神経が膝にも分布しているため、膝に痛みが現れることもあります。
3.進行期
関節軟骨が広範囲にすり減り、骨の隙間が明らかに狭くなります。股関節の骨硬化した部分に空洞ができる「骨嚢胞(ほねのうほう)」や、骨に出っ張りのようなトゲ「骨棘(こつきょく)」ができて変形が進みます。痛みが強くなるため、長時間歩行や立っていることがつらくなり、足を引きずりながら歩くといった跛行(はこう)がみられます。関節の可動域が狭くなるため、しゃがむ・爪を切ることも難しくなります。
4.末期
関節軟骨が消失して、寛骨臼と骨頭の隙間が完全になくなります。骨頭が潰れることで常に強い痛みを感じて、夜寝ていても痛い状態となります。
画像引用:変形性膝関節症の関節イメージ図|日本整形外科学会

変形性股関節症の原因

変形性股関節症の原因は、股関節の骨・軟骨がすり減り変形することです。
この股関節がすり減る理由には、明らかに原因となる疾患はないが時間をかけて変形していく「一次性」と、先天性の股関節疾患が原因となる「二次性」に分けられます。
これまで日本人の変形性股関節症の原因の約8~9割は「二次性」でしたが、近年の超高齢化社会に伴い、一次性原因による発症も増えてきています。

一次性変形性股関節症の発症要因
次のような要因によって、股関節への負荷が蓄積することで少しずつ変形していきます。
①加齢
加齢に伴って関節軟骨が弾力性を失うため、少しずつ傷つきやすくなります。
②重量物を取り扱う仕事に従事する方
重いものを持ち運ぶなど股関節に負担のかかる作業・仕事は、発症・進行の危険因子になりやすいと報告されています(*2)。
③スポーツ
ランニングなどのスポーツでは、股関節に負担がかかりやすく、ダメージが蓄積しやすくなります。
④体重増加(肥満)
青年期初期(20代~30代)からの肥満は、発症リスクを高めると報告されています(*2)。
*2 参考:変形性股関節症診療ガイドライン2016改訂第2版

二次性変形性股関節症の発症要因

日本人では、次のような発育性股関節疾患が変形性股関節症の主な原因となっています。

・臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)
臼蓋形成不全は、股関節を構成する骨盤側の臼蓋が発育不全により、大腿骨頭を十分に覆うことができない状態のことです。臼蓋が小さいと、荷重の伝達する部分の面積が小さくなるため、臼蓋に過剰な負荷がかかります。
思春期での活動量増加や出産後に股関節への負荷の蓄積によって少しずつ軟骨が傷つき、最終的に変形性股関節症へ移行します。
図:臼蓋と骨頭
・先天性股関節脱臼
先天性股関節脱臼は、大腿骨頭が完全に臼蓋から外れることです。出生時の完全脱臼は少なく、家族に股関節が緩い・骨盤や骨頭の形態が悪い方がいるなどの「遺伝的素因」と、乳児期に股関節を伸ばす姿勢を頻繁に取るなど「環境素因」が組み合わさって発症すると考えられています。
画像引用:股関節のX線写真|日本整形外科学会

変形性股関節症の検査・診断

① 問診・視診・触診
自覚症状について、詳しく伺います。
② X線検査(レントゲン)
軟骨の隙間が狭くなっていないか、骨硬化や骨嚢胞・骨棘がみられていないかを確認します。その際、変形性股関節症の重症度を示す「K/L分類」を使って診断します。
③MRI検査
レントゲン検査では確認できない骨の内部や軟骨・周囲組織の状態が確認できます。治療方針(特に手術を検討するとき)を決定するための補助的診断に有用です。

ほかにも、必要に応じてCT検査を行ったり、補助診断に超音波検査を行ったりすることがあります。

変形性股関節症の治療法

現在の変形性股関節症の治療は、症状を和らげたり変形の進行を抑えたりすることを治療目的として、基本的には「保存的治療」から始め、保存的治療を行っても症状が改善せず、日常生活に支障を来す場合には「手術」を選択します。

治療では「痛みを和らげること」「股関節への負担を軽くすること」を並行して行うことが大切です。
薬物療法による痛みの抑制のほか、当院では「積極的保存治療」として物理療法・マッサージや運動療法などの理学療法(リハビリテーション)に力を入れています。
医師の指示のもと、理学療法士が患者様の痛みの緩和や再発防止のための股関節に負担をかけない姿勢・動作など身体作りをサポートします。

① 保存的治療
変形性股関節症の治療では、次のような保存的治療を行います。
・局所安静
痛みが強い急性期には、安静にしましょう。
ただし、痛みが落ち着いてきたら、適度に動いて筋力低下を防ぐ必要があります。
・薬物療法
目的:炎症や痛みを和らげて、日常動作の改善を図る
アスピリン・ロキソプロフェンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)やアセトアミノフェンなど痛み止めの内服・湿布、痛みの悪循環を断ち切る「ブロック注射」(*3)などで速やかに痛みを取り除いて、早期からのリハビリテーションに繋げます。
(*3)ブロック注射:痛む部位の神経付近に麻酔薬を注射する。
・物理療法
目的:痛みの緩和・血流改善・筋肉や関節の動きを改善させる
温熱療法、牽引療法、電気刺激療法、光線療法(レーザー・赤外線)などにより、運動機能の活性化を図ります。
・運動療法
目的:症状悪化の抑止や再発防止・股関節の可動域を広げる・軟骨に栄養を行き渡らす
運動療法は「痛みが落ち着いてから行う・やりすぎない」がポイントです。股関節周辺のリハビリを中心に行って姿勢や動作の改善、筋肉トレーニングを行って股関節への負担を軽減させるようにします。
・装具療法
目的:股関節の負担軽減を図り、関節を安定化させる
股関節装具・杖などがあり、関節炎の初期から中期までの股関節の変形が少ないケースに有効です。

当院では、変形性股関節症の原因を評価して、姿勢指導やセルフリハビリテーションの指導、徒手療法、物理療法などを組み合わせて行っています。

② 手術(関節鏡手術・骨切術・人工関節置換術)
保存的治療を行っても改善せず、痛みで歩けないなど日常生活に支障を来している場合には、手術を検討します。当院では、股関節の変形具合に加えて、患者様の年齢や体力・どこまでの回復を希望するかなどを伺い、よくご相談させていただいた上で選択しています。
※手術の必要がある場合には、適宜近隣の対応病院をご紹介させていただきます。
・関節鏡手術
X線検査で明らかな「臼蓋形成不全」がなく、MRI検査などで「股関節唇損傷(こかんせつしんそんしょう)」(*4)がある場合などに適応となります。
股関節の外側に小さな穴を2~3か所開けて関節鏡(内視鏡)を挿入しながら、痛んだ組織の部分除去や縫合を行います。入院期間は1週間程度ですが、股関節は他の関節と比較して関節鏡を挿入するスペースが非常に狭いため、高度な手術技術が必要となります。
(*4)股関節唇損傷:寛骨臼の縁にある柔らかい軟骨繊維が損傷した状態。ゴムパッキンのように大腿骨頭を包み込む役割をするため、損傷すると股関節に痛みが現れる。
図:関節唇の位置
・骨切り術(こつきりじゅつ)
「関節温存手術」とも呼ばれ、自分の骨を使って関節のバランスを調整する手術です。おおむね股関節の変形が進行していない前期関節症~初期股関節症までの方に適応となります。
臼蓋形成不全が原因の方に対して、骨盤側の骨(寛骨臼)を切り取り回転させて、大腿骨頭と接地する関節面を広げる「寛骨臼回転骨切り術(CPO)」を行います。
早期治療を行えば、変形性膝関節症の進行抑制が期待できたり、長期的に痛みがない生活を送れたりするメリットがあります。一方で入院期間は約2か月と長く、さらに術後のリハビリテーションをじっくり行う必要があるため、仕事復帰は約半年後になります。また、壮年期まで(45歳未満)の方に比べ、中年以降では術後に痛みが再発して再手術(人工関節置換術)となる可能性が高いという報告(*5)もあります。
・人工関節置換術(じんこうかんせつちかんじゅつ)
問題のある股関節面を切り取って、チタン合金やセラミックなど耐久性に優れた素材で作られた人工関節に置き換える手術です。現在の日本では年間約7万例を超える手術が行われており、人工関節の耐用性も55歳以下の方で術後10年87~97%(*5)と良好です。体力があれば、ご高齢の方でも施術可能です。
人工関節置換術は、骨切術よりもリハビリ期間が短いメリットがありますが、人工関節の寿命による再置換の可能性があるほか、手術なので体への負担が大きいことや脱臼・感染など合併症リスクもゼロではないデメリットもあります。入院期間は約1か月となり、退院後も継続してリハビリテーションを行う必要があります。
*5(参考)変形性股関節症診療ガイドライン2016改訂第2版|P.191
図:人工股関節置換術イメージ

変形性股関節症の予防

変形性股関節症は、立つ・しゃがむ・歩くといった生活動作によって股関節にかかる負担が蓄積していくことで次第に悪化していく病気です。
日常生活では、次のような点を意識すると良いでしょう。

・太もも・お尻など股関節周辺の筋トレやストレッチで股関節の負担を軽減させる
無理のない範囲でお尻の筋肉(臀筋群:でんきんぐん)や太ももの筋肉を鍛えたり、股関節の動きを大きくするストレッチを行ったりしましょう。
・有酸素運動で体力の低下を防ぐ
特に「水中運動」がおすすめです。水中では浮力を活用できるため、重力による体への負荷や関節・筋肉への負荷を軽減することができます。平泳ぎを除く水泳や水中歩行など少し疲れる程度の運動(目安:約30分×週2~3回)を行うと良いでしょう。
・肥満を解消し、適正体重を保つ
軽い運動などを取り入れて、減量するようにしましょう。
・お風呂で体を温めて血行を良くする
39~40℃くらいのぬるま湯にゆっくり浸かるのがおすすめです。
・和式の生活スタイルから洋式の生活スタイルへ変更する
例)正座・あぐら→椅子に座る、和式トイレ→洋式トイレ
・歩くときはゆっくり歩き、15分程度歩いたら休憩する

簡単セルフケア!股関節を鍛える運動・ストレッチ

急な筋肉トレーニングは、痛める原因となります。必ず先にストレッチを行ってほぐしてから、筋肉トレーニングをするようにしましょう。
また、過度に負荷をかけることは、変形を悪化させる可能性があります。ストレッチや筋トレは痛くない範囲で行い、股関節の痛みが強いときは行わないように注意しましょう。セルフケア中に痛みなど症状が現れたり悪化したりするときは、すぐに中止して、速やかに医師の診察を受ける必要があります。

股関節の動きをよくするストレッチ
・太もも前面を伸ばすストレッチ (左右30秒×3セット)
① 壁に背を向けて立つ
② 左手で壁に手をついて、体を支える
③ 左足を曲げて、右手で左足首を持つ
・股関節とお尻を伸ばすストレッチ (左右30秒×3セット)
① 仰向けに寝る
② 左ひざを抱え胸の方に引き寄せる
図:膝抱えストレッチ
・太ももの内側を伸ばすストレッチ (30秒×3回)
① 足を開いて座り(開脚)、手はそれぞれ太ももの上に乗せる(※手を体の前に出しても可)
② 手をつま先の方に滑らせるようにして、上半身を前に倒す
股関節周辺の筋肉トレーニング
・太もも前面の筋肉(大腿四頭筋)を鍛えるトレーニング (左右10回×3セット)
① 仰向けに寝て、両膝を直角になるように曲げる
② 片膝だけ伸ばして、上に上げられるところまでゆっくりと上げて、8秒静止する
③ ゆっくりと足を下ろす
画像引用:大腿四頭筋トレーニング|日本整形外科学会
・お尻と太もも裏(ハムストリングス)を鍛えるトレーニング (10回×3セット)
① 仰向けに寝て、足を肩幅に広げて、膝を立てる(手は体の横に置く)
② ゆっくりと腰を床から上げ、上げられるところまで上げたら8秒静止する
※ 息を止めると血圧が上がりやすいので、普通に呼吸をしながら行いましょう!
③ ゆっくりと腰を下ろす
図:腰上げトレーニング
・お尻の横の筋肉(中殿筋)を鍛えるトレーニング (10回×3セット)
① 床に膝を立てて座る
② 膝の上で運動用のゴムバンド(なければ、ベルトで代用可)を少し緩めに(少し遊びがあるように)巻く
③ 膝を立てたまま仰向けに寝て、立てた膝を左右同時に外側へ開く
④ 開けるところまで開いたら、8秒静止
⑤ ゆっくりと膝を閉じる

院長からひとこと

変形性股関節症は早期発見、早期治療が重要です。変形が高度になると治療に難渋いたしますが、早期に病態をご理解していただき、治療をすることで変形の進行を抑えることが可能です。また、変形が高度の場合もリハビリテーションや注射療法である程度の痛みの緩和が可能です。股関節にお痛みがある場合は、お気軽にご相談ください。

変形性膝関節症

「変形性膝関節症」は膝に痛みが出る代表な疾患で、膝関節の軟骨がすり減ることにより、次第に骨や関節が変形していく病気です。
女性は男性よりも4倍なりやすく、国内では変形性膝関節症によって症状が現れている方は約800万人と推定されています。加齢が主な原因とされているため、40歳以降の発症が多くみられますが、膝の痛みや違和感を「老化現象」と考え、治療に繋がらないことも多い病気です。
変形性膝関節症は早期発見・早期治療をすることにより、病気の進行を抑えて普通の日常生活を送ることが可能な病気です。膝に痛みや違和感が現れたら、「老化現象」と思い込まず、お気軽にご相談ください。

変形性膝関節症のセルフチェック
怪我をした覚えがないのに、膝が痛い
床の上に座って膝を伸ばした時、膝裏が床につかない
正座ができない
昔は「がに股(O脚)」ではなかったのに、今はまっすぐ立った時、両膝の間に大きなすき間があく
しゃがむことが難しく、和式トイレがつらい
歩き始め・動き始めに痛みがある
心当たりがある方は、変形性膝関節症の可能性がありますので、一度検査を受けることをおすすめします。

変形性膝関節症の症状

関節軟骨のすり減りが始まったばかりの頃は、無症状であることがほとんどです。すり減りがある程度進むと「膝の痛み」「水が溜まる」「骨の変形」などの症状が現れてきます。
変形性膝関節症の進行度は、自覚症状によって大まかに3段階に分けられます。
※ただし、症状の現れ方・進行具合には個人差があるため、必ずしも症状=病状ではありません。

【初期:朝や動作開始時だけ痛む・外見上の変化なし】
起床直後や歩き始めなど動作を開始したときにだけ痛み、少し休めば痛みが治まります。この痛みを「老化現象だから仕方ない」と思い、受診せずにそのまま放置してしまう方も少なくありません。X線検査(レントゲン)や外見上には異常はみられません。
【中期:正座や階段の上り下りで痛み・膝にむくみ】
しゃがむ・正座・階段の上り下り(特に下り)など膝に負荷がかかる動作で痛みが現れます。膝を曲げにくい、伸ばしにくい、膝を動かすときにミシミシするような違和感や膝に水が溜まり腫れてむくむことで重だるく感じることがあります。また、レントゲン検査では太ももの骨(大腿骨:だいたいこつ)と膝下の骨(脛骨:けいこつ)の隙間が狭くなっていることが確認できるようになります。膝の変形(O脚:膝が外側に弯曲)がみられることもあります。
【末期:何もしていなくても痛む・膝のO脚が目立ってくる】
関節軟骨のすり減りが進行して膝関節内の隙間がないような状態となると、骨のとげ(骨棘:こつきょく)ができたり、骨同士がこすれ合ったりするため、何もしなくても痛みが現れます。また、膝内側の軟骨がすり減り、外から見ても膝のO脚(稀にX脚)が目立ってきます。痛み以外にも膝が伸びずに歩きにくくなるので、仕事・買い物などの活動が思うようにできなくなり、高齢者ではうつ・認知症リスクが高まります。

変形性膝関節症の原因

変形性膝関節症は、膝関節内の関節軟骨がすり減ることによって発症します。

(図)変形性膝関節症のイメージ
「一次性」の発症要因
変形性膝関節症の多くは、次のような要因が組み合わさることで、少しずつ軟骨のすり減りが起こる「一次性変形性膝関節症」です。
①加齢
変形性膝関節症の一番の原因です。加齢に伴って関節軟骨が弾力を失います。
②女性・骨粗鬆症・筋力低下
閉経することで急激な筋力低下が起こり、膝関節に負担がかかります。
③遺伝子(遺伝)
④肥満・急激な体重増加
肥満度(BMI)=体重(kg)÷身長(m)2。適正はBMI≦25です。
⑤仕事・スポーツなどによる膝の使い過ぎ
⑥重度のO脚・X脚など足の変形
「二次性」の発症要因
二次性の場合には、膝関節周りの怪我・病気が原因となります。
①膝関節の骨折・捻挫(ねんざ)や関節軟骨の損傷
②靭帯(じんたい)・半月板損傷
③関節リウマチ
④反復性膝蓋骨脱臼(はんぷくせいしつがいこつだっきゅう)
⑤大腿骨内顆骨壊死(だいたいこつないかこつえし)
⑥痛風(つうふう)

変形性膝関節症の検査・診断

変形性膝関節症は、膝関節内の関節軟骨がすり減ることによって発症します。

1. 問診・視診・触診
自覚症状のほか、膝内側の圧痛(押したときの痛み)の有無や関節の可動域(動く範囲)、腫れ、O脚など変形の有無を確認します。
2. X線検査(レントゲン検査)
膝の骨の変形具合を確認します。関節軟骨はレントゲンには写りませんが、骨と骨の隙間が狭いほど、関節軟骨のすり減りが起こっていることを意味します。また、軟骨の下の骨の硬化や骨棘の有無を確認します。
画像引用:変形性膝関節症のO脚変形・X線写真|日本整形外科学会
3. エコー検査(超音波検査)
骨や靭帯、半月板の状態や、水腫(水のたまり)の有無を確認します。X線検査では確認できない早期の骨棘が診断可能です。また、半月板を膝の屈曲位(曲げた姿位)や伸展位(伸ばした姿位)で評価することにより、半月板の逸脱(不安定性)を診断します。半月板の逸脱の有無により、変形が進行するスピードをある程度予測することができます。
ほかにも、必要に応じて次のような検査を行うことがあります。
骨や靭帯、半月板の状態や、水腫(水のたまり)の有無を確認します。X線検査では確認できない早期の骨棘が診断可能です。また、半月板を膝の屈曲位(曲げた姿位)や伸展位(伸ばした姿位)で評価することにより、半月板の逸脱(不安定性)を診断します。半月板の逸脱の有無により、変形が進行するスピードをある程度予測することができます。
・関節液検査
膝の炎症によって腫れている場合、注射器で関節内の関節液を抜き取ります。変形性膝関節症では黄色がかった透明の関節液となり、一方で似た症状がみられる「関節リウマチ」では、黄色の濁った関節液となります。
・MRI検査
膝の痛みが強い場合には、関節軟骨や半月板、骨内部の病変の有無を確認して、半月板損傷や大腿骨内顆骨壊死など似た疾患との鑑別を行います。
・血液検査
関節リウマチや痛風発作と鑑別するために、血液検査を行うことがあります。

変形性膝関節症の治療法

手術(関節鏡手術・骨切術・人工関節置換術)
保存的治療を行っても改善せず、痛みで歩けないなど日常生活に支障を来している場合には、手術を検討します。当院では、患者様の年齢や体力・どこまでの回復を希望するかなどを伺い、よくご相談させていただいた上で選択しています。
※手術の必要がある場合には、適宜近隣の対応病院をご紹介させていただきます。
画像引用:変形性膝関節症の手術|日本整形外科学会
関節鏡手術
変形の程度が軽く、半月板損傷や滑膜炎などが痛みの主な原因となっている場合に行います。膝に小さな穴を開けて内視鏡(関節鏡)を挿入しながら、痛んだ組織や半月板などの部分除去を行います。入院期間は約1週間です。体への負担が少ない手術ですが、痛みの緩和といった対症療法の意味合いが強いため、治療として行うことは推奨されていません。
高位脛骨骨切り術(こういけいこつこつきりじゅつ)
65歳未満で変形の程度が軽度~中期までの方に適応となります。すねの骨(脛骨)に切り込みを入れてネジやプレートで固定して、膝関節の骨が向き合うよう矯正する手術です。
切り込み部分に入れたプレートは時間をかけて骨とくっ付きます。入院期間は約1か月~1か月半で退院後も継続してリハビリテーションを行う必要があります。自分の骨を残せるメリットがありますが、術後15年20年と時間が経つと、痛みが再発して再手術(人工関節置換術)となる可能性があります。
人工関節置換術(じんこうかんせつちかんじゅつ)
問題のある膝関節面を切り取って、チタン合金やポリエチレンなど耐久性に優れた素材の人工関節に置き換える手術です。日本では年間約8万例を超える手術が行われており、人工関節の耐用性も術後15年で90%以上と良好です。体力があれば、ご高齢の方でも施術可能です。
膝関節全体を人工関節に置き換える「人工膝関節全置換術(TKA)」と、変形が進行した部分だけを置き換える「人工関節単顆置換術(UKA)」がありますが、単顆置換術(UKA)は、膝の曲げ伸ばしに問題のない65歳以上の方が原則適応となります。
人工関節置換術には痛みがなくなる、歩けるようになるというメリットがありますが、再置換の可能性のほか、手術なので体への負担が大きいことや感染による合併症リスクもゼロではないデメリットもあります。また入院期間は約1か月となり、退院後も継続してリハビリテーションを行う必要があります。

変形性膝関節症の予防

日常生活では、次のような点を意識すると良いでしょう。

①膝関節の負担を減らすために、太ももの筋トレやストレッチを行う
無理のない範囲で膝関節を支える筋肉(太ももの前の筋肉)を鍛えたり、膝関節の動きを大きくするストレッチ(太ももの筋肉を伸ばすこと)を行ったりしましょう。
②有酸素運動で体力の低下を防ぐ
ラジオ体操・ウォーキング・水泳など少し疲れる程度の運動(約30分×週2回)を目安に行うと良いでしょう。
③正座を避ける
④肥満を解消し、適正体重を保つ
運動などを取り入れ減量するようにしましょう。
⑤膝をクーラーなどで冷やさず、温めて血行を良くする
⑥洋式トイレを使用する
画像引用)大腿四頭筋の強化例|日本整形外科学会

院長からひとこと

変形性膝関節症は早期に診断し、早期に治療することが大切です。
膝に痛みを感じているほとんどの患者様に「筋力の低下」や「筋の柔軟性低下」などによる膝関節の「捻じれ(歪み)」が生じています。この「捻じれ」が変形性膝関節症や半月板損傷の発端となります。
「膝の状態がどうなっているか?」「今後、進行を予防するためにはどうするのが良いか?」など、患者様の疑問に対して、納得していただける説明を心がけています。